乳児期

「捨てるからね」ストレスが溜まると母は私に言った

私が1歳になる頃だったか…

赤ちゃんと同じくらいの大きさのお人形をプレゼントされた。お人形は座らせると目が開き、横にすると目を閉じた。私はそのお人形に「あいかちゃん」と名付け、常にあいかちゃんを持ち歩き、共に過ごした。

まだ兄弟のいなかった私にとって、あいかちゃんは大切な存在であった。

この頃の母は、肩身の狭い生活や育児のストレスからか時より暴言を吐くようになった。

私にとってあいかちゃんは大切なお人形。母はそのあいかちゃんをゴミ箱に捨て「この人形みたいに○○もゴミ箱に捨てるからね」とよく言った。

何度もあいかちゃんをゴミ箱に捨てられ、そして私自身も「捨てるからね」と言われる。この繰り返しが続いた。私は泣きながらゴミ箱からあいかちゃんを取り出した。当然のようにあいかちゃんはボロボロになってしまった。

もちろん毎日暴言ばかりだったわけではない。公園に連れて行ってくれるなど、母が優しい日もあった。

しかし一方で父は相変わらず育児に無関心。そして祖父は私を公園ではなくパチンコに連れ回した。

時より父と母は言い合いをしていた。幼かった私はなぜ2人が言い合いをしているか分からなかった。定かではないが今思うと、生活環境や育児の考え方の違いだったのかもしれない。

そしてひとたび言い合いが始まると、怒りの矛先は必ずといっていいほど私に向けられた。

大切なあいかちゃんは捨てられ、私自身も「捨てるからね」と言われた。

私はただ泣き続けることしか出来なかった。

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